はじめてのにゅういん 0日目

人生で初めての入院手術を経験したのでせっかくなので何かしら残しておこうと思う。

 

実は今回の症状自体はこの数年間繰り返していた。尾骶骨あたりの皮膚の表面にニキビのような出来物ができて膿んだり治ったり。映画館の椅子に、良いように言えばリラックスして、悪いように言えばだらしなく座ったときにちょうど当たるところ。伝わって。

数年放っておいたのはいくつかの要因による。忙しかったというのもあったが、症状がなんとも地味な点。これがたぶん一番大きい。何かに当たれば痛い。まあでも別に我慢できないこともない。「ほっとけば治りそう」とか「また出来たけど、治りかけにまた何か入ったかな」とか「まあ汗かいたりするもんな」とか適当に納得していた。

ある日、と言うかごく最近、興味本位で【尾骶骨 できもの 皮膚】みたいな適当なワードで検索したところ、出てくるページがみんな口を揃えて「毛巣瘻!またの名を毛巣洞!あなた!コレ!」と。名前から察するに埋没毛かなんかがなんか悪さしてんだろうな〜みたいな風に思って詳しく見てみると「毛巣瘻!自然治癒しない!手術!切除!コレ必須」と。なんと粉瘤的な意地の悪さも持ち合わせていることが判明。幸いにもご時世的にも少し時間も取りやすくなったのもあり、早速近所の評判の良いクリニックを予約した。

 

「ネットで見て毛巣瘻?って言うんですか?それかなあと思って、手術でしか治らないとも見たのでちゃんとお医者さんに見てもらおうと思って.....」とかなんとかをソーシャルディスタンス確保のため透明のビニールのパーテーション越しのお医者さんに伝えた。お医者さんはこれまたウイルス対策なのかマイクを手に持って音声入力。キーボードは十字キーとバックスペースしか使わないようにしているようだった。心の中でお疲れ様です....と唱えているうちに「じゃ、見せてみて。ベッドに横になってズボンと下着は下ろしちゃって」とお医者さん。まあそりゃあそうだよね。肛門科だもんね。お医者さんも看護師も気にしてないのは重々承知の上だけども、重々承知なわけだけども、更衣室や温泉のようなところを除けば、家、トイレ、ホテル以外で下着を下ろすことなんて無いわけでめちゃくちゃ抵抗があった。とは言え「そ、そんな......ちょっと恥ずかしいです......」なんて診察を遅延するようなことを言うのが一番恥ずかしいと気付いていたので(!?!?)シャッシャッシャーっと言われた通りの姿勢を取り無心で次に言われるであろう「はい、大丈夫ですよー」を待った。

予想通り(?)毛巣瘻と診断を受け「じゃあ手術なんすかね〜」と聞くと「うちじゃこれの手術扱ってないし、長年ここでクリニック開いているけど、この辺りで受けてるところは僕は知らない。紹介状出すからこの病院に行ってみて」なんか想像より大事になってる.....。痔の手術はめちゃくちゃやってるっぽいのに.....。診察が終わり、紹介してもらった大きい病院のこと調べてみると、肛門科においては特に日本でも評価の高い病院とのことだった。そのままの流れで予約を取り、後日診察を受けることになった。

帰ってからいろいろ調べていると、肛門科の医院やクリニックの宣伝文句の一つに「日帰り手術」があることに気づいた。痔の手術のことなんだろうが、へぇー、日帰りで手術かー、そうなんだー、知らんけど進んでるんやろなー、まあ痔ではないけど、同じ科だし僕も日帰りかなー、日帰りがいいなー、と期待を胸にズボンを下ろして診察を受けた。「手術を受ける場合、前日入りで7日の入院ですね」「はあーい」

 

0日目終了。

 

 

 

ちなみに埋没毛だとか粉瘤だとか好き勝手言っていたのとは違い、自分の場合は患部から2cm程離れた場所から毛が刺さって、そのまま成長を続け、先天性の空洞(?)で菌とかも増えてこうなってるとのこと。手術では中で伸びている毛を空洞ごと取り除くが、位置の関係上、立ったり座ったり歩いたりで縫ったとしても上手くくっつかないらしく、縫わずに清潔を保ちながら再生するまでほったらかすという。なかなか想定外の説明を受けて血圧は下がりっぱなしだった。

個人的には関係ないとは思うけど今回は触診などもあり完全に人生のハードルを一個飛び越えた心地だった。あとは泌尿器科とか。尿道カテーテルとか。なんの話だ。