本の感想:コンビニ人間

コンビニ人間 / 村田沙耶香

 

芥川賞を受賞した当時、目にする機会が多く「読んでみたいなあ」と思っていながら結局読まずじまいだったのですが、文庫になったとのことで。

読書、好きになって日が浅いし、読むペースも遅く、自分が好きそうなタイトルを引き当てる目も養われてないので、とりあえずこういう受賞作や文庫になったものは個人的に手に取りやいし、大きく「合わなかった......」みたいなことにもならないので自分の中で指標になってます。便利です。長々とそれっぽく書きましたが、ミーハーです、ということです。

 

 

具体的に病名が出てくるとことはないですが、発達障害アスペルガー症候群のようなカウンセリングで「治療」する「病気」の主人公。

社会の中での生きづらさを抱える一方で自分なりの解決方法や対策があり、悲観や絶望はなくまた不満を覚えることはあれど、強い反発心や敵意を露わにすることはなく、冷静に淡々と状況を把握するよう努めている。努めているというか、そういう人物。

これまで「異物」と扱われてきた経験から、周囲の環境から少しずつその成分を汲んで「『普通』の人」のフリをすることで生きやすい環境を維持して生活している。

「異物」は「多数」から「削除」される。それが「常識」の社会。でも「異物」からすればその「多数」こそが「異物」で、当たり前なんだけど。そもそも「多数」とはなんだろうね。皆頑張って肩並べて「多数」に属した気になっているだけで、「多数」も「異物」も架空の現象だなあと思いました。思ってます。同じだけど同じじゃない、そんなことみんな分かった上で、「共感」とか「同じ」とか「多数」とかを字面とはズレた現象に当てはめてる。赤子から育っていくうちになんとなーく察して、それとなーく肩を並べて、知っていってるのに、見方によっちゃ知らなくなっていってるみたいだ。赤ん坊の方がよっぽどものを知ってる。

 

そんなことを思ったりした本でした。