はじめてのにゅういん 2日目

不安も不安な初日を超えて来たる手術日の2日目。下剤で改めて空っぽにして腰から下の半身麻酔。

30cmくらいの厚みの皮膜にぴっちり覆われた上から触れられてるのだけはわかる、みたいな感覚。熱いも痛いもなにも感じないけどゴリゴリに手術が進んでるのは部屋の雰囲気や時間の経過や聞こえてくる言葉なり届く匂いなりでなんとなく察せた。表向き「ああ、なんも感じないしこんなもんか」と振る舞っていたが内心「え?これゴリゴリ削られてんのよね?え?え?え?痛い。痛くないけど。痛いいあい」と軽くパニックだったのでただの汗なのか冷汗なのか脂汗なのかわからんがダラダラだった。昨日から心身消耗し過ぎだな、って話だけど、そんなに難しくない短い20分くらいの手術が終わるころには、まるで全身麻酔の大手術を乗り越え、目を覚ましたばかりのような弱々しい受け答えしかできなくなってた。担当医は軽率に(?)切除した患部を持ってきて僕に見せながら今回のこの毛巣瘻についての説明を改めて行った。きちんと説明があって安心だね。任せられるね。ほんの数十分前には体についてて痛かった部分が目の前にあるってヤバいのよ。あまり詳細に書くとグロすぎてアレだからアレだけど。というか、想像してたより結構とったのね.....。リラックスさせるためか隅にラジカセが置かれていて、FMの番組でミスチルのイノセントワールドが流れてたのを覚えてる。これからこの曲を聞くたびに手術のことを思い出すんだろうな。しんどいな。

 

そんなこんなで、ドラマでよくある「山田さん!聞こえますかー?」ってキャスター付きのベッドのやつで部屋まで運ばれて、船から漁港に魚を下ろすみたいに部屋のベッドに滑り移されて、2時間は麻酔が変なきき方をしないように特に頭を動かしては駄目だよ、と言われ、水も飲めず、7時から14時過ぎくらいまでかな、じっと安静にしてた。下半身の方は唯一足首を少し動かせるくらいで全く動かせなくて素直に麻酔褒めた。凄い。そのうちじゃあ寝返り打ってみましょうかってなったんだけど、無理過ぎるベッドの横の手すりに捕まって90度回転してみたけど油断すると起き上がりこぶしみたいに元の姿勢に戻る。こっちは倒れるんだけど。それで色々分泌されて興奮してたのも次第に落ち着いて、疲れて寝て起きたら足の方もまあまあ動かせるようになってた。でも歩けはしないだろうな、という感じ。そして入院前から説明を受けてたのだけど、ここらのタイミングでお小水が全く出ないとちょっと別の処置が必要になってくる可能性が出てくるんだって。もちろん歩けないし、車椅子に座らせるのも補助が必要で、トイレに移るにも補助が.....という具合。さっき自分でもわかったけど、脱力した人間ほど重いものはない。倒れて怪我するリスクは避けたいけど排尿はしたい。まあそりゃあ尿瓶だよね。あれから数日たったけど、齢25の割と柔軟なうちに、患者の恥のプライドはひとりよがり、って気付けるような経験ができて良かったんじゃないかと思う。80とかになって凝り固まったプライドでおむつは嫌だ!おれは歩ける!一人で風呂くらい入れる!!とかなると大変だし、結果できないことを突き付けられたときのショックがおおきそうだ。自分はもうすぐにでも必要とあらば、おむつもお風呂の介助も受け入れられそうだ。それはどうなのか。

 

 

2日目おわり。